「緊急地震速報」新手法導入で精度向上へ 見逃しと過大評価を防ぐ

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地震が起きた直後、強い揺れが迫っていることを知らせる緊急地震速報。世界でも類を見ない防災システムとして社会に定着してきたが、その正確性と速報性の両立には課題も浮かび上がる。誤報を防ぐため、気象庁は新たな技術の導入に乗り出した。

◆揺れる前に知る

 地震の揺れは2種類の地震波で地面を伝わっていく。速く伝わる第1波は「プライマリー」の頭文字をとってP波と呼ばれ、カタカタと弱く揺れる。遅れて伝わる第2波は「セカンダリー」の頭文字からS波といい、グラグラと強い揺れをもたらす。

 緊急地震速報はこの2つの波の違いを利用し、強い揺れの数秒から数十秒前に予想震度を発表して備えを促すのが目的だ。全国約1200カ所の地震計でP波を捉えると、気象庁にデータが送られ震源やマグニチュード(M)などを自動的に計算し、S波による震度を即時に予想する。

 テレビなどで表示される一般向けの速報の運用が始まったのは7年前。最大震度5弱以上の揺れを予想した場合、震度4以上の地域に対し発表されている。

◆大震災の教訓

 速報精度の課題が大きく浮かび上がったのは東日本大震災だった。M9・0の巨大地震で岩手県から福島県までの東北地方に速報が出たが、実際は関東地方でも最大震度6強の揺れに見舞われた。

 速報は時間との戦いなので、気象庁は震源断層の破壊が始まった宮城県沖のデータを基に発表した。しかし、断層の南端は約3分かけて茨城県沖まで破壊。海溝沿いに広大な断層が壊れる巨大地震の揺れの範囲を正確に予想できなかった。同庁の担当者は「震源を面ではなく点として解析し、即時に震度を予想する手法の限界」と話す。

 巨大地震の翌日、今度は東北から岐阜県までの広範囲に速報を発表したが、実際は大半の地域で震度2以下にとどまった。長野県北部と福島県沖でほぼ同時に発生したM4程度の地震のP波を区別できず、M7級の1つの大地震と誤って過大評価したためだ。

 ◆的中率88%に

 どうすれば「誤報」を避けられるのか。気象庁は改善策として来年度にも、京都大と共同開発した新たな震源決定法を導入する。現在は地震の発生時刻や地震波の振幅などから複数の震源を別々に求め、その中から1つを選んでいる。新手法では、複数のデータや計算法を統合して解析し、最も確からしい1つの震源を決定する。同時発生した地震をより正確に区別でき、過大評価を回避できる。

 さらに揺れの見逃し対策として、再来年度にも従来と全く異なる方法を導入する。半径30キロ以内で観測した最も強い揺れと同じ震度を予想する手法だ。P波ではなくS波の解析が必要なため、揺れの到達に間に合わない可能性は大きいが、断層が広大な場合は見逃しを減らすことができ、南海トラフ巨大地震などで効果が期待される。

 この2つの新手法を、大震災から約10カ月間に速報を発表した94地震に適用したところ、予想と実際の震度の誤差が1階級以内に収まる「的中率」は、76%から88%に向上することが分かったという。

 ただ、課題はまだ多い。震源が浅い地震や震源に近い地域では、揺れに間に合わない場合が多い。また観測網が手薄な沖合の地震や、震源が深い場合は予測の誤差が大きい。迅速に精度良く地震を捉えるため、気象庁は海洋研究開発機構が紀伊半島沖に展開する地震・津波観測監視システムや、防災科学技術研究所が首都圏に設置している大深度地震計のデータの早期活用を目指している。

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